このぶきみな天体の写真は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の「サウロンの目」のように見えませんか。映画では、サウロンの目は、主人公フロドの長い旅の最終目的地でした。でも、この写真の天体は、宇宙を行き来する旅の終点ではありません。宇宙に点在するたくさんの距離(きょり)標識の一つに過ぎません。
写真は、天文学者たちが超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)と呼んでいるものの中で爆発した星の残がいをあらわしています。超新星爆発にはさまざまな種類があります。ここに示されている残がいを作り出したのは「Ia型超新星(いちえーがたちょうしんせい)」と呼ばれています。このような超新星爆発は、天文学者たちが宇宙の中で距離を測るのに役立っています。
天文学者たちはもちろん、はるか遠くの宇宙の天体までの距離をものさしを使ってはかることはできません。でも、星がIa型超新星として爆発すると、どれも同じ明るさになります。これは、天文学者たちが、地球から見たときにどのくらい明るく見えるかによって、どれだけ遠くはなれているかを調べることができることになります。爆発が暗く見えるほど、遠くにあるはずです。
Ia型超新星が宇宙のさまざまな場所で発見されているので、天文学者はそれらを使って、近くにあるほかの天体の距離を推定することができます。だから、これらの超新星爆発は、宇宙で暗やみで光る距離をはかるためのマーカーのような役割です。
知っ得ダネ
一人ぼっちの星がIa型超新星として爆発すると、何千億もの星をもつ銀河全体と同じくらい光をはなつことができます。
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