太陽系の最果て(さいはて)の、5億マイル(約8億km)向こうの暗がりの中を高速で進みながら、目覚まし時計が鳴り響きます。それは小さな宇宙船のこと。今、2年半の眠りから目覚めたのです。
この小さな宇宙船、名前は彗星探査機「ロゼッタ」。かれこれ10年間にわたり、宇宙を8億km以上も旅をして、今週の月曜に目を覚ましました。そしてチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への任務を再開したのです。
ロゼッタの電源は太陽光、つまり太陽電池です。ですから太陽から遠く離れるほど、受け取る電力は弱くなります。31ヶ月前、ロゼッタは太陽系の中でもかなり遠い、木星の近くを通過していました。そして電力を節約するために、スリープ状態(冬眠)にされたのです。
ロゼッタは太陽系を10年間も飛び、その間、火星と地球の近くを数回通過したり、2~3の小惑星も訪れました。そして年内にはついにその任務の最終段階に入るのです。
ロゼッタは、この8月にはチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着し、その周りをまわります。そして2ヶ月間、彗星の表面のくわしい地図を作り、搭載(とうさい)している着陸機「フィラエ」が下りる場所をさがします。着陸は11月11日に予定されていて、彗星への着陸は、世界で初めてのこころみとなります。
もしも、このとっても難しい探査が成功すれば、ものすごく得るものがあります。彗星というものは、タイムカプセルのようなもので、太陽系ができた時の状態が残っています。彗星を研究することで、私たちの家、太陽系がどのようにして宇宙の中で誕生したかがわかるのです。
知っ得ダネ
探査機ロゼッタは遠くはなれているため、その電波信号が私たちに届くのに50分もかかります!
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