このきれいな新しい写真は、チリの砂漠に建っているヨーロッパ南天天文台の高 性能天体望遠鏡によって撮影された、ゆっくりと踊るように、たがいに宇宙の中 で回りあっている2つの銀河です。
ほかの自然の物事とおなじで、この写真に見える巨大な輝く銀河は、美しいので すが同時に危険なものでもあります。実際、何人かの天文学者は、それを「宇宙 のいじめ」とよんでいます。
この写真のように、銀河がたがいに近づきすぎたとき、それらの銀河を、「相互 作用銀河(そうごさようぎんが)」とよびます。それらは、あなたが友達とおた がいに影響しあうのとはちがって、2つの銀河の間に働く強い重力が、相手を引 いているのです。
しかしこれは対等な引きあいっこではありません。見てのとおり、一方の銀河は 相手の銀河よりはるかに大きいのです。ということは、大きな銀河は引力が強い ので、いずれこの楽しい引きあいっこは、小さなほうの銀河が飲みこまれて終わ りとなります。
大きく写真に写っている銀河は NGC1316 で、ほかの銀河を飲みこむのは今回が 初めてではないという証拠がいくつかあります。例えば NGC1316 には、その中 心近くを通っている、普通はあまり見られないチリのすじが何本かあり、これも めずらしく、小さな星団がいくつかあるのです。これらのことから、この銀河は 約3億年前に、べつのうず巻き銀河を飲み込んだのかもしれないと考えられてい ます。
知っ得ダネ
もうひとつおまけとして、この新しい写真は、相互作用銀河よりさらにずっと向 こうの、遠い宇宙をみせてくれています。写真の中のぼやけた点のほとんどは、 とっても、とっても遠くにある銀河なのです。
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