世界の人口の3分の1は「移民(いみん)」、つまりひとつの国から別の国にひっこしてきた人たちです。ひっこしをする理由はさまざまです。仕事のため、自由になるため。自然災害(さいがい)から逃げるため、などもあるかもしれません。
さて、私たちの太陽系にも、別の太陽系からひっこしてきたものがいます。今、木星の軌道(きどう)にいついている小惑星です。これは、今までに初めて、別の太陽系からやってきたことが確かめられた小惑星です。
私たちの太陽系の惑星はすべて(それにほとんどのほかの天体も)、太陽のまわりを同じ方向に回っています。ところがこの小惑星は、ちがいます。逆方向にむかって回っているのです。 もしこの小惑星が私たちの太陽系で生まれたのなら、きっとほかの天体と同じように同じ方向に動いているはずです。ところがこれが、ほかの天体の流れにさからっているということは、どこかよその場所からひっこしてきたのかもしれない、ということになります。
今までにも太陽系外からの訪問者を見つけたことがありましたが、それは通りすがりの旅人でした。しかしこの小惑星は、長い間太陽系にとどまっています。
私たちの太陽はほかのたくさんの星たちといっしょに生まれ、それらの星は、ひしめきあっていました。太陽と同じようにその星たちはみな、惑星や小惑星をたくさん持っていました。他にも太陽系がいっぱいあったのです。(これは正確には惑星系といいます)これらの仲間たちはすぐ近くにいたので、私たちの太陽と惑星の重力によって、となりの太陽系から小惑星を引きつけてつかまえたのでしょう。
知っ得ダネ
今となっては、どの恒星が星団の中で太陽とともにうまれたのかを見分けることはできません。それぞれの恒星が天の川銀河の中心のまわりを回っているうちに、ちょうど長距離ランナーが先頭集団から脱落(だつらく)していくように、星団がくずれて落ちていったのです。
この記事は Royal Astronomical Society (王立天文学会)の報道発表によります。
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