惑星誕生
これまでに何千もの太陽系外惑星が発見されましたが、それらがどのようにして生まれるのかはほとんどわかっていません。わかっているのは、惑星は若い恒星(こうせい)のまわりをとりかこんでいる、ちりをふくむ円盤(えんばん)から生まれるということだけです。冷たいガスとちりがかたまりになると惑星になります。宇宙の保育園のようなこの円盤をくわしく調べたら、惑星がどうやって生まれるのかをつきとめられるのではと天文学者たちは考えています。このような円盤から惑星が生まれる証拠をこんなにはっきりと観察したのはこれが初めてのことです。
ねじれ
ぎょしゃ座AB星という名前の若い恒星の周りには、ちりとガスがギュッと集まってできた円盤があります。こんな円盤はほかにも、たくさんの若い恒星のまわりで発見されましたが、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)をつかってしらべていたチームが、今までに見たことがない変わったとくちょうを観測しました。ぎょしゃ座AB星の円盤の中に、ねじれたらせん形のものがはっきりと、惑星が生まれているかもしれない位置を示していました。このねじれがこれほどはっきりと写っている写真をとることができたのは初めてでした。
この写真では地球から520光年はなれたぎょしゃ座AB星のまわりにある、ちりとガスでできたらせんのとくちょうがよく分かります。写真の中央にある黒い部分は中心の恒星なのですが、見えていません。望遠鏡の装置によってわざとかくされています。その方がまわりの円盤がよく分かるからです。黒い部分のうら側に、とても明るい黄色のねじれが見えていて、そこで惑星がうまれようとしています。この赤ちゃん惑星から、かくしている中心の恒星までのきょりは、海王星から太陽までのきょりとだいたい同じくらいです。
ねじれはどのように生まれたか
ぎょしゃ座AB星のまわりにあるようならせんはこれまでにも、若い恒星のまわりの円盤の中で発見されています。このタイプのらせんは、赤ちゃん惑星がいることをしめしています。惑星の重力がガスを「けっとばし」て円盤の中に波が起こります。ちょうどボートが進むときに水を押し分けて波が起こるのと同じです。惑星が恒星のまわりをまわるにつれて、円盤の中のちりとガスの波がらせんの形の腕を作ります。
ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)
このねじれを観測したのは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡( VLT)です。チリ北部のアタカマ砂漠にあるセロ・パラナルの山頂にあります。この地域のすみきった空のおかげで、宇宙をはっきりと観測することができます。VLTは実は4つの大型望遠鏡でできており、別々に観測したりチームになっていっしょに観測したりできます。それぞれの望遠鏡には、とらえた光を1点に集める大きな鏡がついています。1つの鏡は直径8,2メートル、つまりキリンの背たけほどもあるんです!
写真提供:ヨーロッパ南天天文台 Boccaletti他
知っ得ダネ
このヨーロッパ南天天文台の4台からなる超大型望遠鏡の1つ1つの望遠鏡は、肉眼よりもおよそ40憶倍も強力な目で、かすかな天体でも見つけられるんですよ!
この記事はヨーロッパ南天天文台の報道発表によります。
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